blog拝啓、雲樹立つ寺より

ランキング〇位:大山

投稿日: 2022.01.11


この山何位?

 

雲樹寺の近く、檀家様も住んでいる集落、柿谷
能義平野なる土地の片隅のここは若干の山間なのです
しかし、だからこそ平野特有の平地をちょっと高いところで俯瞰できます
そして、その向こうにあるものを眺める事が出来る…

大山です

ここに家を作った人たちは、ここから見える大山の為に家を作ったのです
そういう経緯がある場所なので、ここで大山を撮ると必然、いいかんじ

今回の写真がそうなんですけど、どうでしょう

他にも大山を見るにはもっといい場所がある?
あるいは、もっと美しい山がある?

そういうのはまあ、どうでもいいんです
ここには大山が有りますので

 

 

むかし、ちいさいころ
大山=富士山だと思っていました

だってほら形が良く似てるし…そりゃ厳密には違いますけど

ちいさいころはアンパンマンに出てきて度々カチ割れるあの背景の山が印象に在って
あの山っていうのが要は「山」なんだと思ってたんですね
そうすると、よく似てる身近なあの冬の大山こそ山オブ山という認識だったんです
だから、世間一般でのキングオブ山こと富士山も、大山なんだろうと思ってたんです
…説明が難しいですね…だってそもそも勘違いの概要ですし当然っちゃ当然か

そりゃある程度年を取ればその認識も改まりはしますが
でも私にとっての根底はそれです、三つ子の魂百まで
大山=富士山

しかし改めて
静岡の修行道場である臨済僧堂にて生活を始めると
チラチラと目に入るのです…本物の富士山が!

まあ大きいこと!

だってざっと何倍でしょうか、3倍?もっと?
地図で調べれば尚も驚く、その距離!
大山と雲樹寺の距離よりよっぽど離れてるのにこの存在感!
これはなるほど、日本一だと言われるだけはある
形容でない日本最大、すごいものです

 

 

そういう認識を得て、数年後
静岡から歩いて島根まで帰ろうと思い立つと、私は富士山に背を向けて歩き始めました

徐々に遠ざかり…見えなくなる富士山
いえ、正確には振り返って遠ざかる富士山を確認する事すら忘れていたのですが
そうやって富士山を忘れて
歩いて、歩いて
三か月かけて歩いた先で最後の山を越えると

あの山が見えてきました

不思議なものです、背を向けていたはずなのにまた同じような山が見えてくる
富士山が、大山に
そう、厳密には違う事が当たり前に分かっているんです
しかし三つ子の魂百まで、私の目には完全に同じ山が顕れていたように感じられた
区別がつかない

というよりは、区別をつける必要が無いのでは

 

 

こうやって帰ってきた私の生活は元のように、とはなりません
修業して帰ってきたわけですからね、何もかも違う
やるべきこともやらなければならぬ事も違う

しかし今でも私は同じ山と共に在るように感じる

勿論錯覚です、勘違いです、間違いです
大山と富士山は別
でも、そんなに大事なことだと思えなくなっていました

ここから見える大きな山
しかもそれは美しい

であれば本当にそれは、ただそれだけでいい

真実それが日本一だとか最大だとかはまったく関係の無い事で
偽物だからだとか、ウソだからでもない

ああいう美しい山を見て、ああいう風になれたら良いなと思える
この心持の在り方は何一つとして変わらない

大山であれ富士山であれ
私はああやって、どうしたって良いようなものになりたいなと想っているのだと
そういうものを目指しているんだと

こんな風なことを思えました

いかがでしょうか

瑞塔山 雲樹寺
〒692-0056 島根県安来市清井町281
TEL:0854-22-2875 / FAX:0854-27-0281
参拝時間 8:30〜17:00
※上記以外の時間はお参りは出来ますが、職員の対応はありません。