光る!回る!ご本尊様
投稿日: 2024.01.15
光るけど回るほどではないご本尊さま
雲樹寺の住職こと私、醍醐は常々思っておりました
うちのご本尊様、暗くない?と
その思いはある日、両サイドの提灯の電球をLEDに変えるとさらに強くなりました
今までの倍以上に両側が明るくなってしまいましたので
中央のご本尊様は更に暗くなってしまったのです
朝の光はいい感じに照らすのですが、昼間は角度も相まって闇・・・
さながら仏殿は闇を湛えているかのごとく
うわあ、これは良くない・・・
「ちょっと暗すぎない?」
「そうかな・・・そうかも・・・」
言いづらい事ではありますが伝えない事にはどうにもなりません
ご本尊様に伝えると、薄々分かっていたことなのかしっかりと受け答えしてくれました
そして翌日、仏殿に行ってみると
なんと写真の通り、自力で発光してくれるようになったのです
夜の間に何かしたのか
初めからやろうと思えば光れたのか
事実の程は分かりませんが
光ってくれてありがとう!お釈迦様!
〇
嘘です
そりゃ嘘ですよ・・・
光るわけがないじゃないですか
正しくは、雲樹寺が頑張ってお金をためて買ったライトのおかげです
ようやくこういうことができる余裕も出てきました
雲樹寺の運営における、進歩というやつです
無くてもいいけど、ちょっと有った方が良い・・・
このくらいのものにも金銭を裂くことができるようになった!
結果としては如何でしょう、写真の雰囲気
いい感じなのではないでしょうか
仏殿は雲樹寺の一番大事なところ
お寺ごとの教えのルーツを強く表すための施設
だから天井に雲龍図を描いたりして、お守りするわけです
ここまでしているのだから、やっぱりきちんと照らさないと!
とか説明すると逆にどうなのってなりますよね
そんなに大事なのに、蔑ろになってない?みたいな
粗末にしてなかった?みたいな
だって今まで闇の中だったわけですしね
んまあそう・・・
ご本尊様を大事にするのは正解でもあり
不正解でもあります
〇
仏に会うては仏を殺し
祖に会うては祖を殺す
禅宗における境地への達し方
あるいはこれに向けての覚悟を表す言葉
その一節ですが
この殺されてる仏様は、ご本尊様的なものです
この他にも、謎かけのようなものがあるのですが
これへの回答は「本尊像をぶち壊す」だったりとか
機に応じて破壊されがちなご本尊様
なんと乱暴なんでしょう、禅宗は!
そりゃ仏破壊なんてだけ聞いたらこう感じられるでしょうが
どうでしょう、なんで仏様がここまでされねばならんのか考えてみるのは
だって別に壊すもの他に沢山あるでしょう
何ならもっと高価だったりお金になるものはお寺ごとにあるはずです
それを壊せ!っていうのなら分かるんです
だから「寺で一番価値のあるものを壊せ」って問題文とかならわかる
いや逆に、そう書かれていないからなんでしょうか
誰もが無意識にお釈迦様の像を大切で大事な物だと思っている
仏教徒ならではの共通認識がそこに在るからこそ・・・破壊という行為にも意味が生まれる
大事すぎることの裏返しがここにあるのですね
寺の中に在る何よりも
教えの源そのものが大事
だからこそ・・・
〇
いや壊しませんけども
っていうか「仏に会うては~」のくだりもそうですが
実際に会って殺す言葉ではありませんからね
否定する事、否定しつくす事
つまるところ、自分の心の中の大事な要素を「無」にできるだけ近づける事
それによって自分自身の心は、ようやく自分自身だけのものになる
自分自身とは何なのかが、そこでようやく分かる
仏像破壊だってそうです
自分がそこで買ってきたものだったらそりゃ好きにすればいいですが
ご本尊ってことは寺のもので、自分一人のものでは無いですよ
沢山の人が手を合わせるためにあるものですよ
それを好きに壊すなんて当然できようはずもありませんが
壊さないと覚悟のほどが分からないというのであれば
如何にするべきか
迷う・・・迷って迷って・・・困って困って・・・
最後にようやく行動が結論となる瞬間
それまでの迷いが、改めて何と何との迷いであったのかが分かったとき
自分が何者か分かるようになるのか
だとすると私は
ご本尊様がいつか誰かの為に破壊されるまでを待っているのか
破壊されるまで守る為にここにいるのか
・・・事実そうであったとして、何も実は変わらなかったりします
この世にあるものは全部、いずれ壊れて亡くなるまでの時間を過ごしています
迷いの果てに行きつくべき手段のためでも、自然の摩擦であったとしても
仏様が壊れて亡くなる瞬間を待ちわびているのかもしれません
そのためだったら、多少は自腹切ってでも綺麗に照らしましょうとも
一応言っておきますけども
前後不覚な理由で訳も分からず破壊されるのを求めてるわけじゃないですからね
そんで仮に壊れても翌日には新しいのを置きます
迷いは一人きりのものではないですからね
お釈迦様はまったく、仕事が尽きませんなぁ!