blog拝啓、雲樹立つ寺より

町のもの

投稿日: 2024.01.29


宇賀荘の素晴らしい椿っぷりのようす

 

一月末といえば宇賀荘の椿展ですよね

毎年この時期に宇賀荘公民館で開催される地域のお祭り
別に出店が沢山来るわけでも、祭囃子と踊りが在るわけでもない
ただこの日のために花をつけた椿が在る・・・
そういうお祭りです

このお祭りにちょっとだけ顔を出したのが私
私とは即ち、雲樹寺住職の醍醐です
毎年の事ですが、そういやブログに書いてたっけ?
書いてないような気がするので書いておりますが
書いてたとしても・・・まあいいか!

私が主催していないお祭りは気楽でいいですねぇ!!
そろそろ暖かくなる季節が見えてきましたので
間もなくシーズンになってしまうわけですが
この機会もまた勉強でしょうか

お祭りに大事な物は何かを感じねばなりません

 

 

で、今「お祭りに大事な物は何かを感じねばなりません」って打ち込もうとしたら
「お祭り」が「お祀り」に変換されてしまったのですが
まあお寺のブログですので!さもありなんですね!!
とも思いましたがあんまりこの字使ったことないな
パソコンくんが気を遣って変換してくれてるんだと思いますが

「祀る」と「祭る」
前者は、見えない何かに捧げものをしてるイメージ
後者は、そういう建前を置いた上で歌い騒ぐイメージ
あくまで個人的にはそう感じています

と思ってましたが、どうなんだろうと思って調べてみたら
「現代ではほとんど同じ言葉として使われている」と出てきて
そんなわけねぇだろ!?と声に出ましたが
考えてみれば上に書いた私のイメージも大差ないので文句言えませんね・・・

調べていくとですね
そもそも「奉る」から派生したのが「祀る」と「祭る」だそうで
実は他にも「待つ」「順う(まつろう)」「参る」等も有ったのですが
目上の方に対し何かしらを捧げる一連の儀式という意味が遺り続けたのが
この二語であると

「祀る」には神様への捧げもののための儀式
「祭る」には霊を慰める、葬儀の意味合いが強いとか

なんだ「祭り」の方が雲樹寺には縁深いんだな!
調べた結果、ウチの方針と違うようなら今後は「祀り」を使おうかと思いましたが
心配いらないようで助かった

ってことは「冠婚葬祭」ってのは
ちょっと後半の二文字は意味被りがちなのかもしれませんな

 

 

「祭」に在るべきなのはつまり、死者への念であると

・・・そう思うと、やはり重い!
言われずとも薄っすら知ってた事ではありますが
言葉にすると重さが違いますねぇ
死とは、命とは、そう感じられるものです

しかしこの感覚は、大事であると分かるからこそ
大事すぎる事の裏返しでもあります
怖れに変わるほどの大事さ
そして、想ってるほど遠く離れたものでもない証拠でもあるわけです
本当に遠いものを怖がることはありませんからね
太陽が燃え尽きる日の事を心配する人はいないでしょうから
死と生は、50億年ほども離れてはいないんです
もっと近い裏表、おなじ命の形

ならば祭りに含まれるべき意味も、もっと簡単に考えていい

例えば、その土地にずっと前からある特徴みたいなものを
みんなで確認し合うようなものでいい
良いものとか悪いものとか関係なく
何時の時代も「自分の親やその親が好きだったもの」を愛でるようなものでいい
これがずっと続いて、やがて子が親になった後も続けばいい
ただそれだけのことが「かつて生きていた頃の人々の行いを繋ぐこと」
これが「死者の生前の行いを思うこと」であり
ひいては「死を想う」
命を想うことに繋がるわけです

 

 

っていうことを考えてもいなくても楽しめるのが「お祭り」です!!

だからいいんですよね

雲樹寺が在るこの土地周りを総称する「宇賀荘」は「宇賀の庄園」
かつて天皇家・・・調べてないので分かりませんが後醍醐天皇辺りに由来しているのでしょう
ここでいつの日からか流行り始めた「椿の花」
この実から採れる「椿油」を名産とした文化は
今でもまだ続いているんです

雲樹寺も例外ではなく
祖父が好きであった椿の花は、今でもまだ境内じゅうに生きていて
季節ごとにそれぞれの個性ある花を咲かせます

人間と花は違います
でも花には人の心が宿り得ます
これこそが人の命の持つ可能性であり、心の力
お祭りはその一側面を表すことができる、儀式と言っていいかもしれません

そんな宇賀荘の椿展、ぜひお越しください
ちなみに今年はもう終わりましたので来年にお越しください
雲樹寺のお祭りは三月末ごろにやりますので、そっちもよろしく

瑞塔山 雲樹寺
〒692-0056 島根県安来市清井町281
TEL:0854-22-2875 / FAX:0854-27-0281
参拝時間 8:30〜17:00
※上記以外の時間はお参りは出来ますが、職員の対応はありません。