涼しさが出てまいりました
投稿日: 2021.10.18
秋を知らせるナイルくん、堂々と外で寝るのを辞め、慎ましくも読経用の座布団で丸まります
慎ましくはないかも知れない
徐々に朝が涼しいというより寒くなってきました
お体の方大丈夫でしょうか
雲樹寺の醍醐です
無理矢理に挨拶と自己紹介をキメるのにも慣れてきました
最初はなんだよそれ、不自然でイヤくらいに思ってましたが
意外と慣れるものです
あんなに暑かったというのに、今や涼しくなってきたように
時間が巡ります
積み重ねも積み重なります
とにかく繰り返す事前提でやってみる事が大事なんですねぇ
〇
「秋風荒野行人絶 馬首到来知之誰」
(しゅうふうこうやこうじんたえ ばしゅとうらいすしんぬこれたぞ)
って言葉が有るんです
行く人が誰もいなくなってしまった秋の荒野に
馬に乗った人がやってきたぞ
これ誰?
そんな言葉です
いや何?って思われますでしょうか、でも禅語ってこんなもの
秋っぽいからって理由で以て出しました、秋ってあるし
やっぱ同じ空気を感じられるっていう意味でも、タイミングって大事
それでこの言葉の意味なんですけど、
これ誰?ってそもそも何の事聞いてんのかってことですよね
馬に乗ってきた人の事だと思う方もあるやもしれぬ
しかし、手掛かりがない・・・人に対する描写が少ない
であれば、それが誰かなんてわかるわけない、ですよね?
じゃあ誰って誰の事なのか
実はこれ、土地に対して言ってます
荒野くんですね
君は何なの、そういう詩なんです
〇
荒野ってそもそもどういう状態なのか
要は荒地ですよね、草ぼうぼう雨やらでドロドロ
動物はいても人は住まず植物も大きいものはない、みたいな
何にもならないというよりは、そうなってしまった場所
じゃあ前は何だったの?
秋風に吹かれる寂しい荒地、誰もいない場所
でもそこに・・・誰か来た
行人が絶えた場所にやって来た者は馬に乗っているようです
馬に乗っているってことはまさに絶えてしまって久しい行人なのでしょう
行く人、馬に乗っている、旅の人
でもってここは荒野だから人が住まう場所でない、彼はそのまま行くでしょう
この荒野を通って、行ってしまう
寂しい秋風、寂しくも行く人、また寂しくなる荒野
しかしてこの荒野は、道だったのではないでしょうか
行く人が絶えたから道だった場所も鬱蒼として荒れた
でも・・・行く人はそこが道だったことを知っていたから道として使った
だとすればこの荒野は誰か?
道なのでしょう
道とはとても見えなくても道で、行く人にとっても間違いなく道
であれば最早文句の一つもなくここは道です
道が道として積み重ねてきたキャリアが、道を道と定義し続けている
道を道と知り続ける者が、道を道にし続けている
それ、というものは、それだけでそれたり得ない
しかし、それたり得る確かなものが有れば
仮にそれが何であるかを自身が忘れてしまっても
自身足りえるものが向こうからやって来るのだ、という
これはそういう詩です
〇
・・・いやあくまで私がこう解釈してるってだけですからね
私の師匠が言ってたんですよ、真空になれって
ホントに何にも無くなった空っぽの状態の真空に、最初に入って来る純粋なもの
これこそが自分自身なんだと
この詩はまさにそういうことを言っていて
無くなり切ってしまった荒野が道だと知る旅人に肯定されるのが大事なんですけど
これは道の持つ積み重ねがあったからこそで
積み重ねが肯定されてるんですよね
私が成りたいのも要はこういうものでして
荒地になってもなお遺るものになりたい
それに必要なのは無限の積み重ねで
生きて生き続けていく事に他ならない
まあつまり、季節は巡りますが頑張って生きていきましょう
なんかそういうことが言いたいんです私は、たぶん
寒くなるけどがんばりましょうねー
ヒュー